人ごこち

住民メッセージ

今西林業 渡川山村商店

プロフィール

今西 正さん 今西 猛さん
(職業:今西林業 渡川山村商店)

美郷町南郷区渡川(どがわ)地区で山師の今西兄弟といえば知らない人はいないほどの有名人。2人とも1度は渡川を離れたことのあるUターン者です。兄の正さん(38)は、福岡市で17年間暮らし、衣料品関係の仕事を15年務めました。弟の猛さん(34)は、保育士として3年間勤めた福岡市から10年ほど前に帰郷後、実家の今西林業を継ぎ現在は代表を務めています。渡川に戻った猛さんが家業の林業にネット配信を加え、故郷の良さを生かしながら自分らしく生活していくためのシステムを構築しようと奮闘している姿に背中を押された正さんは、約2年前に渡川へ戻り山師として働くようになりました。生活へのこだわりは、「毎日、髪を洗うこと」と笑います。ドレッドヘアが印象的な正さんの笑顔が、渡川の美しい山々や里山のおだやかな風景に明るく溶け込んでいました。

今西正さん、猛さんにお話を伺いました。

仕事の魅力

正さん:ひと言で「林業」といってもたくさんの仕事があります。木の植林や伐採、椎茸栽培も林業です。山師の作業班によって植林メイン、伐採メインなど分かれていて、総合でやっているところもあるけれど僕らは植林が主な仕事になります。春に植林して、その木の手入れをする。夏は草刈り、冬に徐間伐、それが1年間のだいたいの流れです。原木椎茸の栽培や収穫は山師の仕事以外のときに行います。この仕事は、自分たちの時間を作ることができるのが良いですね。真夏の草刈りはつらい作業の一つですが朝の6時から山に入って作業して、昼には終わって川で魚を釣るなど、のんびり過ごすこともできます。僕は山師としては1年半の新米ですが、山の仕事のほかにSNSやブログを利用して山師のこと、渡川での生活のことなどを情報発信したりしています。ブログがきっかけになり長野県から家族で移住し、山師を始めた人もいるんです。発信したことを誰かが見て、心を動かしてくれるのだと実感しました。

猛さん:渡川に帰ってきた理由が「ここで子育てしたい」と思ったから。家族の時間を作ることができる、子どもに合わせた働き方ができるのは魅力だと思います。また渡川の山のめぐみをネットで紹介・販売するために立ち上げた「渡川山村商店」は、山村では買い手に合わせた大量生産ができないため原木椎茸や梅、お茶などを生産者の判断で美味しいとき、出来たときに購入希望者に発送するという「つくる側」主体の販売方法を作りました。思った以上に購入者の方々に受け入れてもらえて嬉しかったです。

美郷町南郷区渡川の魅力

正さん:都会には何でもあります。人もたくさんいる。だから埋もれてしまうこともある。渡川は人口が約370名で、そのうち30代以下が100名います。誰もがこの地域を守っていくためにいろいろな役割を担っています。皆、渡川に必要とされているんです。若い移住者がいるしUターン者も多く住んでいる「これから」の場所だと思います。

猛さん:月並みですが四季折々の自然があって、手入れされた山が残っていて、「山で生きる」という暮らしが見える場所。昔から続いている文化や産業を感じることができます。また、他の土地から入ってきた人をすんなり受け入れることができる懐の深さ、気持ちの柔らかさがあると思います。山師の仕事でも親世代は僕らのようにスタイリッシュな作業着は受け入れたくないという感じがあるようですが、好きにさせてもらっています。インターネットを使っての外へのアピールも、これからの渡川をどうすればもっと良くなるだろうかという話も、僕ら世代だけではなく地域全体で考えていこうとしています。新しい生活を始めるための良い物件もありますよ。

移住者、これから林業を目指そうとする人へのメッセージ

正さん:林業という仕事に興味を持って欲しいです。たぶん、多くの人が農業や漁業についてはよく見たり、聞いたりして身近に感じられると思うのですが林業は、話題になる機会が少ないです。だから林業をやっている僕らがネットだけではなく町に出て、直売所やアンテナショップなどで直接いろんな人と話をしたり、触れてもらったりして林業のことや渡川のことを伝えていこうと思います。僕らがいま切っている木は、僕らの親や祖父の代が植えた木です。そんな木を見るたびに、「よくここまで大きくしたな、昔は十分な道も、道具も機械もなかったろうにな」と感心します。僕らがいま植林した木は、子どもや孫の代に大きくなります。親や祖父らと同じように今度は僕らが彼らに残すんです。早く結果を出すことを良しとしたり、流行のサイクルも情報の流れもあっという間の現代で10年、100年先のきれいな山を見据えて作ろうとしている林業のクリエイティブさは、とても格好良いと思っています。

猛さん:就職時期の学生や社会人が「職業」を考えたとき林業という仕事は、ほとんど選択肢に入らないだろうと思います。どんな職業なのか分からないし、敷居が高いイメージもあるようですし、仕事を始めようと思ってもどこに行けばよいのか分からないでしょう。そんな時にはまず僕らのところ、渡川に来てください。資格や経験はいりません。性別も関係ありません。「どんなことをやっているんだろう」「やりたい」と思ったら、気軽に僕らのドアを叩いて声をかけて欲しいです。渡川も僕らも、人が来ることが大好きですから。